満足度

自分の行動や選択は自分で考えて合理的な意思決定をしている。

そのようにぼくたちは考えていますよね。

しかし、客観的に見るとおかしな行動や選択をしていることが多々あります。

それは人間が直感でものごとを判断してしまう、不合理な生き物だからなんです。

本書ではさまざまな実験データからそのような人間の意外な一面に迫っていきます。

著者はノーベル経済学賞を受賞された心理学者のダニエル・カーネマンさんです。

そんな行動経済学の権威が書いた本なので、内容が少し難しく読むのに9時間くらいかかってしまいましたが、そのくらいの時間をかけてじっくり読む価値がありました。

本書を読めばあなたの世の中を見る目がガラリと変わるはずです。

ポイント

自分の中に他人がいる

脳が楽をするために、人間の脳は「システム1」と「システム2」という二つの思考から成り立っています。

システム1は脳への負担を減らすために自動的に高速で動く思考で、物事を直観的に理解しようとします。

システム2はゆっくり論理的にものを考える思考ですが、怠け者であるため知的努力を嫌がります。

普段ぼくたちは、自分は論理的に考え合理的な判断を下すと考えています。

つまり、それはシステム2が働いている状態です。

しかし、システム2は怠け者なのであまり働こうとしません。

そこで働くのがシステム1です。

システム1は非論理的で周囲のものに大きく影響を受けるため、不合理な判断をしばしばしてしまいます。

このように、ぼくたちは自立した意識の中で合理的な意思決定をしているつもりでも、実は直感で判断をしてしまうため不合理な意思決定をしてしまうことが多いわけです。

システム1とシステム2の思考は大きく異なるため、まるで他人の意思が自分の脳に同居しているのかのようですね。

自分の考えではあるが、自分の考えではない意思によって、自分が動かされていると考えるとなんだか怖いです。

確証バイアス

自分の信念を肯定する証拠を意図的に探すことを確証方略と呼び、システム2はじつはこのやり方で仮説を検証する。

「仮説は反証により検証せよ」と科学哲学者が教えているにもかかわらず、多くの人は、自分の信念と一致しそうなデータばかり探す──いや、科学者だってひんぱんにそうしている。

これはよくネット上で目にする偏った見方の人、いわゆるネトウヨなんかが典型例です。

彼らは自分たちにとって都合のいい情報ばかりを集めてそれらをもって全ての真実を知っているかのようにふるまいます。

そうはいっても、そういった確証バイアスには彼らだけでなく、少なからずぼくたちもかかってしまうことがあるはずです。

システム2をちゃんと働かせて、疑いながらしっかり仮説を検証することが大事ですね。

ハロー効果

人物描写をするときに、その人の特徴を示す言葉の並び順は適当に決められることが多いが、実際には順番は重要である。

ハロー効果によって最初の印象の重みが増し、あとのほうの情報はほとんど無視されることさえあるからだ。

この話はおもしろい新たな発見です。

順番が重要だなんてこれまで全く考えてきませんでしたから。

自己紹介をするときは、まず長所から述べていけば、短所も欠点に思われなくなりそうですね。

アンカリング効果

何か数字を示されると、自然にその数字に近い答えを出してしまうことをアンカリング効果といいます。

住宅を買うときも、最初の提示価格に影響される。

同じ住宅でも、提示価格が低いときより高いときのほうが、立派な家に見えてしまう。

相手の言い値には惑わされないぞ、と心に決めていても無駄だ。

これも一つのバイアスといえます。

値切り交渉をするときなんかはこちら側が先に数字を提示して話を進めると、その交渉をうまく運ぶことができそうですね。

反対に自分にとって極端に不利な数字を相手から示された場合は、その交渉を蹴ったほうがよさそうです。

平均への回帰

うまくいっている人を見ると何か原因がありそうですが、もしかしたらそれは単なる偶然なのかもしれません。

29連勝というプロ将棋史上最高の記録を打ち立てた藤井聡太四段もこのように言っています。

「率直に言って運が良かったです。ただ連勝には特にこだわりはありません。
今は勝敗が偏っている時期で、いずれ『平均への回帰』が起こるのではないかと思っています。」

藤井四段の快進撃も偶然だったのでしょうか。

それはもっと長い間見てみないとわかりませんね。

それにしてもまだ中学生なのに「平均への回帰」という統計の専門用語をサラッと将棋の会見で言えちゃうところが藤井四段のすごいところです。

個人的には藤井聡太さんのことが大好きなのでこれからも勝ちまくって将棋界や日本を盛り上げていってほしいと思います。

 

この平均への回帰を知っていればうまくいっているときに、うまくいかなくなることを恐れることはなくなるはずです(平均へ回帰するのは当たり前だから仕方がない)。

また、うまくいかないときもいずれうまくいくだろうと思えるので気が楽になります。

どんなときも「平均への回帰」を頭に入れておきましょう。

わかったつもり

次の例はトレーダーあるあるでしょう。

ある銘柄が上昇するかもしれないと思っていたけど、上がらないかもしれないからその時点では買わなかった。
それなのに実際に株価が上昇したら「やっぱり上がると思ってたわ。」と思ってしまう。

この思考は結果バイアスないし後知恵バイアスによるものです。

つまり、後からならなんとでも言えちゃうわけです。

結果がわかった後に無意識のうちに自分の過去の考えを修正してしまうのですから恐ろしいものですよね。

過去のことが容易に説明ができるからといって、未来を予測することができると思っていたら、その辺のエコノミストやアナリストと一緒になっちゃうので気を付けましょう。

まとめ

最初のほうは理解するのが難しくて、ぼくの怠け者のシステム2が考えることを放棄してネット上の要約に走りそうになりましたが、なんとか読破しました。

とにかくこの本からの学びは大きく多かったです。

自分を含め人間がいかに偏った物の見方をしているのかわかりました。

特にぼくの場合は後知恵バイアスにかかっていることが投資をしていてたくさんあったなと痛感しています。

また、仮説思考で仮説を立ててその証拠を集める際に仮説に有利な情報ばかりを集めていたようにも思います。

本当に自分の馬鹿さ加減にうんざりしています・・・

でも、このような人間の思考のメカニズムを知ることで、自分のこれからの判断を見つめなおし、より良い判断をしていくことができるようになりますし、不合理な人間の心理を活用してビジネスに役立てることもできます。

少し難しい本ですが、行動経済学の最先端に触れてみたいという方は本書を読んでみてください。

ファスト&スロー(下)』も読んでみました。

 

行動経済学の本としてコチラもオススメです。

ぼくが行動経済学の本として最初に読んだのはこの『予想どおりに不合理』でした。

こちらのほうがよりかみ砕かれていて、断然読みやすいです。

なので、ぼくはまずは『予想どおりに不合理』から読んでみることをオススメします。

いきなり『ファスト&スロー』を読むと途中で投げ出してしまう可能性が高いので・・・

そして行動経済学のおもしろさをわかったうえで、『ファスト&スロー』を読んでみる。

そうすれば、より理解が深まって行動経済学について考えるのが楽しくなりますよ。