満足度
今回でとりあえず読書法に関する本の固め読みは終了です。
本書は「読んだ内容を自分のものにするにはどうすればいいか」ということに着目していたこれまでの三冊とは違い、「どうやったら効率よく本を読んでいけるか」に重点を置いています。
内容は主に「理論編」と「鍛錬編」に別れており、理論編の中身は本当に理論的でなるほどと思うところが多いのですが、いざそれを鍛錬編で実践してみようとなるとかなり骨が折れます。
でも鍛錬編で鍛えて速読術を習得してこそ意味がある本なので、投資効率をよくしたいのであればきちんと取り組まなければなりません。
Contents
ポイント
目指すべき読書は?
ただ漠然と読書をするだけでは自己成長には繋がりませんよね。
ですから読書を投資ととらえ、その投資効率を良くしていかなければなりません。
投資効率を良くするにはリターンを大きくするかコストを削るかにフォーカスすることになりますが、リターンの大きな読書をするにはある程度の経験値とビジネス力がなければならないと著者は言います。
そういった経験知やビジネス力というのはそう簡単にアップするものではありませんよね。
ですから僕たちはコストを削ることにフォーカスしなければなりません。
読書をするうえでかかるコストと言えば本代などお金もありますが、それ以上にコストとなるのが時間です。
その時間をコストを圧縮し、かつ成果は落とさない読書をしていくことにフォーカスしたのが要領のいい読書であり、僕たちが目指すべきものなんですね。
時間コストを10分の1にするには?
時間コストを10分の1にするには10倍の速さで読めばいいって考えちゃいますよね。
しかし、そんな読書は著者は間違いであるとしています。
理由はシンプルで
ずばり「無理だし、無駄だから」。
ざっくばらんですね。
でも本当にその通りだと思います。
今の10倍のスピードで本を読んでいる自分は非現実的で想像しがたいですし、仮に最後まで10倍の速度で読めたとしても本の内容を自分のものにできるかどうか疑問です。
ではどのように時間コストを下げるのでしょうか。
本がこれだけあふれるようになったら、「何をどう読むか」ではなく、「何を読まずに済ませるか」を考えなければいけません。
目指すのは、加速することではなく、読み方をシフトすること。
「超高速で一字一句をしっかり読んで、細部まで記憶に残す速読術」をいまだに妄想している人がいたら、目指す方向が間違っているということに気がつかなければいけません。
「読書から何を得たいか」や「この本からどんな情報を知りたいのか」を明確にして読んで要らないところはバッサリ切って、いいところだけを読みこむ。
これは『読書は「アウトプット」が99%』と『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』でも出てきた話ですね。
このように目的や読むところにフォーカスすれば自ずと読むべき範囲は狭くなり、本を速く読めるようになるということです。
本を読むと思考力が衰える?
これはしばしば聞くことですね。
読書をするうえで注意しなければならないことですが、具体的にどういうことでしょうか。
それは、一言でいうなら、「自分の頭で考えることを忘れてしまう」ということです。
私たちは、本を通じて著者の思索の跡をなぞっただけで、自分が何かを知った気になりがちです。
そのとき、「自分の頭で考える」作業を置き去りにしてしまうのです。
問題はそこにあります。
頭は、意識して使いつづけなければ、どんどん錆びついてしまいます。
自分の頭で考えないと結局あとあと高くついてしまうということは僕も経験しています。
知識を得ても頭で考えられない人になったらそれはマイナス成長です。
そのため、自分の頭を働かせながら読む主体的な読書をしていく必要がありそうですね。
「がんばって読もう」と思うと頭に入らない?
本を自分のものにするために「ちゃんとしっかり読むぞ!」って気合が入っちゃいますよね。
しかし意外にもこういう「読もう!」という心理がいけないんです。
頑張るほどに狭くなる視野のワナ
内容が難しい文章やセンター試験などストレスのかかる状況でしっかり読んでいるはずなのに何度も前に返っても読み直したという経験はありませんか。
実はこれは視野が狭くなっていることが原因なんです。
「読もう」という意識が強くなると、視野は狭くなります。
視野が狭くなると、意識下で文脈をつなぐ作業の効率が悪くなって、理解度が下がります。
このように頑張って読んでも視野が狭くなり、理解度も下がってしまうので、「読むぞ!」と意気込むことは良くないことのようですね。
頑張るほどに空回りする目のワナ
しっかり読みたい時だけでなく速く読みたい時も意気込んじゃいますよね。
でもこれもいただけません。
「速く読むぞ!」とがんばってしまうと、視野が狭くなって理解度が下がるだけでなく、理解に必要な時間を削ってスピードを上げることになります。
さらに不自然に視点ジャンプの幅を広げたり、本来余計に時間がかかる行末まで強引にすっ飛ばしたりすれば、どんな結果が待っているかは明白です。
何とも恐ろしい結末です。
頑張るほど脆くなる記憶のワナ
では、速く読むのではなくじっくり読めばいいのかというとそういうわけでもないんです・・・
記憶というのは何かと関連付けられることで強固なものになります。
ですから僕は同じジャンルの本をまとめて読む固め読みを実践しています。
この記憶の定着に大事な関連付けが、じっくり読むことによって妨げられてしまうんです。
がんばって読む場合、「今、読んでいる部分」に徹底的に意識を集中して読むことになります。
すると、「前後のつながり」が関係性のすべてになる。
全体像とかテーマとの関係性が見渡せず、整理もされていない。
そうなると時間の経過とともに、すべてが関係性の壊れた未整理の断片になってしまいます。
そして思い出す糸口を失ってしまうのです。
また、じっくり読もうと意気込むとストレスがかかってしまうためそれもダメなようです。
こうやって見ていくと頑張ることがいかに危ういのかがわかりますね。
頑張って読もうとしてるだけなのに・・・。
頑張って読むのはほどほどにしてリラックスして読むようにしましょう。
鍛錬編
鍛錬編では心技体を極めて速読術を身に着けます。
いろんなことを意識しながら一つ一つトレーニングをこなしていきます。
内容は、はっきり言ってかなりハードです。
著者曰く速読は体育会系のノリで身につけるんだそうです。
きついですが、本書はこの鍛錬編をやって速読術を身に着けてこそのものなので成長意欲のある人は取り組まないといけません。
僕は二日やってみましたが、まだ成長を実感できません。
継続は力なりってやつですかね・・・
成果を得るにはもう少し時間がかかりそうです。
※2018年4月追記
この鍛錬ハードすぎます。
速攻挫折しました。
いつ挫折したのかも覚えていませんw
こういう鍛錬をしなくても本を読みながら「拾い読み」を意識すれば、速く読めるようになるというのが個人的な見解です。
実際ぼくは、そういった拾い読みをここ1年間意識しながら本を読むことで、一般人の2倍ほどの速さで読めるようになりました。
平凡なぼくでも速読できるようになったので、拾い読みはチャレンジしてみてください。
まとめ
頭を使って主体的に読むというのは、『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』で学んだようにいいところから得た示唆を書きだし、仮説を立てていくという「転記」をしていけば良さそうですね。
気張らず速く読み、成果を落とさない読書をするというのはトレーニングが必要なのでこればかりはトレーニングを続けるしかなさそうです。
ただ、個人的には本当にこのトレーニングで著者が言うように本1冊を10分で読めるようになるのかは疑問です。
いくらなんでも1冊を10分は難しいだろうというのが今の考えです。
しかし、本書が提唱しているようなざっと全体を俯瞰していっていいところを拾い上げる斜め読みの技術はトレーニングによって鍛えることができると思います。
ですから1冊10分とまではいかないものの今まで以上の効率のいい読書をしていくことをしたい方はやってみるべきですね。
最後に一つ注意点なのですが、Kindleなどの電子書籍だとちょっとトレーニングがしにくいです。
僕はKindleなのでトレーニングするページと説明をするページの行ったり来たりで、ページを移動するのにストレスがかかります( ;∀;)
あと、紙の本より少し眼に負担もかかっているはずです。
なので、ガチで本書の読書術を身に着けたいという方は紙の本にすることをオススメします。
最後に、著者が書いた本の中にこんな本もありました。
「講座」というだけあってこちらの方が実践的なのでしょうか。
余裕がある方はこれもやってみてもいいかもしれませんね。
でも本当に余裕がある方だけですよ。
今回紹介したフォーカス・リーディングをまだやられていない方は絶対に手を出さないでください!