満足度

本書は4年前に読んで、これは!と思った本です。

それ以来1年に1回は読み返していますが、少し分厚い本なので最初のほうのページを読んだら本棚に戻すを繰り返していました。

それでもすごくいい本だということはわかっていたので今回はじっくり腰を据えて読んでみました。

本書が扱うのは誰もが持っている力、「意志力」についてです。

この抽象的な概念とされてきたものを本書は科学的に解き明かしていきます。

 

ポイント

「なぜ」を考えれば姿勢が変わる

人はある一定の成果をあげた(進歩した)と感じると、後退するような行動をとってしまいます。

たとえば、10キロ痩せることを目標にダイエットしている人は、2キロ減った(進歩した)ことがわかると、ジムに行くのをやめたり、お菓子を食べたりして目標から遠ざかる行動をとってしまいます。

せっかく目標に近づいているのに、どうしてこんな不思議な行動をとるのか疑問に思ってしまいますが、これは「がんばったんだからもう少しごほうびをもらってもいいよね」という心理が働くからなんだそうです。

そこでこういったごほうびに誘惑されないために効果的なのが「なぜ」という理由を考えることです。

どうして自分は努力しているのかということを考えれば、人は目標に向かって努力をし続けられるようになります。

「やる力」とドーパミンを結び付ける

ドーパミンには報酬を期待させる作用があります。

おいしそうな食べ物のことを想像したり、お金がもらえることを想像するといい気持ちになるのはドーパミンが出ているからです。

テレビゲームやネットサーフィンに長時間費やしたり、ギャンブルに大金を賭けたりするのもドーパミンによっていい未来を期待しているからというのが大きいです。

そういう見方をすればドーパミンは邪魔者のように思われます。

しかし、考え方によってはそれを利用してことをいい方向に運ぶこともできます。

たとえば、大学受験のために勉強をしないといけない高校生が、志望校に合格した自分をビジュアル化して、はるか先の報酬に現実感を持たせてモチベーションを上げるということができます。

こうやってやれば面倒だけどやらなければいけないことも、ドーパミンのおかげで先延ばしにすることなく実行することができますね。

失敗した自分を許す

失敗をすると人は罪悪感を感じてしまいます。

こんな経験はありませんか?

ダイエットをしていてお菓子を食べるのを我慢していたけど、我慢できずにクッキーを1枚食べてしまった。

「馬鹿なことをしてしまった。あーもうダメだ。もういいや。ダイエットはもうパーだ。」

と1箱たいらげてしまう。

1枚でストップしておいたほうが1箱食べるよりもダイエットにいいことは明白ですが、自分を責めることにより「どうにでもなれ効果」が働き、もっとダメになってしまう可能性が高まります。

ではどうすれば「どうにでもなれ効果」が緩和されるのか?

それは自分を責めるのではなく、慰めることです。

失敗した自分に優しく接すれば罪悪感が和らぎ、責任感が増し、頑張ることができます。

失敗した人はあやまちを正そうとどうしても自分に厳しくしてしまいがちですが、失敗した自分を許す寛容性を持つことを心がけたほうがよさそうですね。

10分待つと何が起こるか

人は目先の報酬に弱く合理的に考えにくいものです。

逆に遠くの報酬は合理的に考えることができます。

その性質を利用したのが、「やりたいことがあっても10分待ってみる」という方法です。

本書ではこんな実験が紹介されています。

  • タバコが吸いたくなってもとりあえず10分待ってみる。
  • そして10分後に吸いたければ吸ってもいいし、吸う気がなくなれば吸わない。

というルールを愛煙家が実践しました。

そうすると、どんどんタバコの本数が減っていきました。

これは10分待つことによって脳が賢明な判断をしているからです。

10分というと短く思いますが、脳にとって10分後は「いま」のことではないので目先の報酬とは認識しません。

なにかやりたいことやほしいものがあっても、とりあえず10分間待ってみるとより合理的に選択することができそうです。

欲求を受け入れる-ただし、従わないで

知ってる人も多いと思いますが、「シロクマのことを考えないで」と言われれば人はシロクマのことを考えてしまいます。

このようにリバウンド効果があるため、何かやってはいけないことがあるときにその思考を抑えつけようとするのは逆効果になります。

こういった場合の対処法は考えや欲求を無理に頭から追い出すのではなく、素直にその気持ちを受け入れることが大事です。

思考はコントロールすることができませんが、行動はコントロールすることができます。

思考と行動は別だと割り切り、行動だけは自制しましょう。

まとめ

よりよい自分になるためには意志力を鍛え、対処法を学ぶ必要があります。

「意志力」というと、「気合」や「根性」といった精神論に頼りがちになりますが、著者は最新の研究事例に基づいた科学的な鍛え方や、意志力が困難に直面したときの対処法を教えてくれます。

内容はスタンフォード大学の「意志力の科学」講座と同じように10週間の講座を受講するかたちで構成されており、一つひとつがおもしろいです。

1週間で1つの章を読んでみて、学んだポイントを実践してみる。

そうしていけばどんどん変わっていく自分に気がつくはずです。

努力の方向性を見失わないために、より良い人生を送るためにぜひ一度読んでみてください。