満足度:

タイトルから本の内容が想像できますが、本書は集合知に関する本です。

どうして「みんなの意見」が正しいのか、これを様々なおもしろい逸話や実験を通して説明しています。

「案外正しい」の「案外」というのがミソです。

 

優秀な一人の人間(専門家)の意見よりも凡人がたくさん集まって導きだされた「みんなの意見」のほうが正しい。

ただし、いつでもみんなの意見が正しいというわけではなく、次の条件の元で正しくなります。

  1. 多様性
  2. 独立性
  3. 分散性
  4. 集約性

これは多様な意見を持った人が周りに影響されない自分の意見を持ち、自分の情報に基づき自分で意思決定をする。

そして、みんなから集まった意見をうまく集約するシステムがある。

という状態です。

この4つの条件のすべてが整って初めてみんなの意見が正しくなります。

 

たとえば、みんなが忖度をするような会議だったり、同じような意見を持った者同士の話し合いでまとまった結論は正しい意見にはなりません。

それどころか個人が出す結論よりも極度に偏った悪い意見になる傾向が強くなります。

結局みんなの意見が正しくなるためには、みんなの中に「天邪鬼」が必要ということですね。

「多様性」、「独立性」、「分散性」、「集約性」の一つでも欠ければ集団の知恵は案外正しいどころか、極端に悪くなりがちなので注意が必要です。

 

また、株式市場が機能するのも「みんなの意見」の結果ですが、いつも市場が正しい値をつけるとは限りません。

行動経済学では投資家は非合理であるゆえに市場が正しい値をつけず、バブル・暴落が起きるとされています。

しかし、集合知的な考え方でいけば、個々人が非合理でも集団になって意見を集約すれば正しい結論が出されるはずです。

それでも集合知的な観点からも株式市場が正しくなくなることは説明できます。

みんなの意見が正しくなる条件が株式市場では整っていないからです。

市場では自分がいいと思うものを買うのではなく、みんながいいと思うであろうものを買う「美人投票」が行われています。

つまり、投資家の意見は周りに影響されてしまうため「独立性」がありません。

だから株式市場ではみんなの意見が正しくならないわけです。

 

本書は翻訳本ということもあり、後半は理解するのが難しくストレスを感じながら読破しました。

最初のほうの事例はすごく簡単でイメージしやすい(牛の体重を当てる話とか)ので、そこを読むだけでも集合知のすごさに触れることができます。

優秀な個人よりみんなの平均のほうが優れているなんて一見信じられません。

ウサイン・ボルトの100メートル走のタイムと世界中の人のタイムの平均を比べれば、ボルトが圧倒します。

しかし、ある条件の元ではみんなのほうが優れています。

本書は「みんなの意見」の活かし方がわかる本です。

集合知のすごさについて触れてみたい人はぜひ読んでみてください。